教室に戻ると中山が髪を黒くスプレーで染めていた。

そして

「一高の秀才に見えるだろ?これで今日はナンパだGO!」

と楽しげに笑う。

なにが『GO!』なんだか。

結局私はどちらにしてもナンパの事実をこのゴリラに知らされる運命だったようだけど。

「一高?秀才?中山、そんな事してナンパすんの?プライドとか……」

ないのかよ?とは言い切れなくて語尾は濁した。

「うるせーな。ナンパにプライドとかいらねーんだよ!てか一高も制服一緒だから、これでメガネかけて……っと。どうだよ?これでどうだよ?一高生だべ?」

“だべ”とか言うな。

「……バーカ」

情けな~。

バカをマッハで通り越しそうな勢いだ。

自分を偽って、バカを一時的に隠したとしてさぁ……

それで彼女が出来て……何がいいのさ?

そう言おうと思ってハッとする私。