こんなに何でも持ってそうな人が不安?

いや、高藤の事なんて実際はほとんど知らないから、それってただのイメージなんだけど。

勝手に“威風堂々”だし“孤高”なんて思ってたんだけど。

高藤にも不安なんてあんの?って言おうと思った瞬間

「もう、ほっとけって。自分が嫌になってくる──」

高藤は右手を軽く上げるともう完全に外界をシャットアウトしてしまった。



私がふと寂しさに潰されそうになるのと同じように

高藤も寂しかったりすんの?

けど……

“もうこれ以上は踏み込んでくんじゃねぇ”

そこには確かに見えない壁があって。

無表情な横顔からはもう何も読み取れなかった。