転校早々『あっち側の人』に位置づけられた私にやっぱりお友達は出来ず、教室の離島はいつしか私の席となり。

私は無人島にひとり。

だけどそれもいい。

教室のドアを開けると注がれた視線がスススーッと逸らされていく。

うん。

これでいいんだ、私は。

そんな中で一際目立つ黄色が叫び走り寄って来る。

「あ、タキィ!! おはよ。さあ、今日もおはようのハグだッ!」

バフッ──

両手を広げた中山の胸に私の代わりに飛び込むアッキーの右足の前蹴り。

アッキーは有言実行派らしく、意味のない『タキには手ぇ出すな』を自ら律儀に守っていて。

たぶんそれは2年全体をシメているアッキーのプライドなんじゃないかと思う。

私を『ブス』って言ったけどさ。

高藤はそれを『黒田番長』と鼻で笑ったけどさ。



『……うう、無念。愛しのタッキィ~』と中山が床に崩れ落ちる。

こうして黄色のゴリラが遊んでくれるし。

「……お前らうるせぇ」

意外と天然でいつも眠そうな銀色狼が私達を見て目を細めるし。

てかうるさいのはゴリラだけなんだけど。