バイクにまたがるアッキーがピクッと眉を上げ、ポケットから携帯を出して。

そして小さくため息をついてそれをしまう。

「……なに?」

「なんも」

あぁ、そうかい。

アッキーの腕を掴んで乗り込む後ろのシート。

「──タキ、愛しとーよ」

それは唐突に

まるで感情のこもらない声で。

広い背中から聞こえるふざけた軽い『愛しとーよ』。

最初の何日かはこれに律儀に反応して、真っ赤になっちゃったりして『ふへッ?』とか言っちゃったりしてたけど。

転校2日目にいちごミルクを吹き出した時は中山に笑われ、高藤には嫌な顔をされ散々だったけど。

だけどこれにも慣れた。

こう答えればいいんだ。

『バーカ』と。

そうすると

ほら。

アッキーがクッと喉を鳴らす。

その口角はクイッと上がってるはず。