「ギャァァ──」

トモ婆ちゃん!ど、泥棒だぁぁぁ!

と叫ぼうとした私の口を赤い男は素早く手で塞いだ。

や、ヤバい!

殺される。

このままじゃ一家皆殺しだ!

一家って、ばあ様と私だけだけど。

てかばあ様は老人会だけど。

それはそれとして──

そうはいくかぁ!

私をそんじょそこらの女と同じだと思ってるのならば──

「暴れんな。……俺は泥棒じゃねぇ」

赤髪が顔を近づけ、低くく呟く。

…………き、綺麗ぇ。

──じゃなくって。

口を押さえられたまま……

壁にドンッと押し付けられ……

私はかろうじて自由な右手で赤髪のあごを目がけてパンチを繰り出してみた。