その日、いつも通り居間で朝ごはんを食べたアッキーが

「タキ、この時覚えてるか?」

と居間の柱を指差した。

「あ……ううん」

『タキ5歳』の線に視線を移し、私は正直に首を横に振った。

「この日は……ひーちゃんの葬式の日で。泣いてる俺に“星になるんだね”ってお前は言ったんだ」

……覚えてない。全く。

「俺、あん時寂しくってさ。弟が3人もいたから母ちゃんはいつも忙しくて、俺はいつも婆ちゃんといたんだ。その婆ちゃんが死んで。けど5歳の俺には受け入れらんなくてさ」

「……うん」

「葬式の最中に家の前でブラブラしてたらお前が赤い髪で、ニッて笑ったんだ。んで、俺の涙を指で拭いてくれた。『泣くな』って」