あー、下心だすとロクな事ねぇよ、と呟く中山の頭を軽く撫でて私は席についた。

思ってたよりもずっと柔らかい髪だった。

けどよー。けどよぉ、と中山は振り返る。どうやら漫画を閉じ、本格的に私と話し込むつもりらしい。

「なに?」

「けどよ……あれだな」

「だからなによ?」

ああ、じれったい。鞄を机にかけて中山を見ると中山は窓の外を見ながら

「昨日さぁ、髪染められながらさぁ、俺なんか楽しかったんだよな。なんか良かったんだよなぁ。……うん」

と口元を緩めた。

「……マコも黒田も前と全く同じじゃないけど──」

「え……?まだもめてるの?」

いやいや、もめてないよ、と中山はフッと小さく笑う。