「大丈夫。殴るのは一発だけ。あとは床に寝ててくれたらいいから。私が全部やるからさ」

写真撮るだけだし。そんでマユミさんにメールで送るだけだし。

「……なんか、恐ぇんだけど?てか殴るのかよ?」

「うん。借り、返したいんでしょ?」

「……なんか理由があんのか?」

「理由なんてないよ」

「……タキ?」

名前を呼ぶアッキーの声が柔らかくて胸が跳ね上がる。

「理由はないってば!1発ぐらい殴ってみたいだけだよ!」

私を忘れないでね──



「……タキ?」

「なんだよッ!」

「……俺、童貞だから、優しくしてね?」

「…………」

「……い、いってぇ!だから、その俺様の上の足をどけろ!」


私もきっと忘れない──