晴海先輩のいなくなった屋上でまた2人ぼっち。

ボーッと空を見上げるアッキーに見習って、私も吸い込まれそうな青を見る。

そう言えば体育館裏で会った高藤もこうして空を見上げてたっけ。

目の前に広がるブルーは、限りなく透明で深くて

ちっぽけな自分を実感させられる。

それは恐怖ではなくて、むしろ安堵。

ちっぽけって素晴らしい……かもしんない。

私は全然大した人間じゃなくて

だけど、それでいいのかもしれない。

「そうか……」

私の中を一陣の風が吹き抜けた様な気がした。

自分がこんな穏やかな気分で空を見上げるなんて、夏に浦ヶ崎に来たばっかりの時には考えらんなかった。


隣から聴こえるご機嫌な鼻歌はスージーの“ワイルド・ワン”。


「アッキー、賭けの事黙っててごめんね?」

鼻歌が止まり、

「気にすんな」

と言う短い返事が返ってきた。