金色でピカピカ光る腕時計を見ながら

「やべぇ。そろそろ戻らねぇと。お前らもサボってばっかいねぇで授業出とけよ?テルみたいに留年すっぞ?」

と晴海先輩は吸い終えた煙草を足で揉み消す。

「テルさん、また?」

と言うアッキーの質問に晴海先輩は『たぶんな~。99パーセントの確率で』と口角を上げた。

そして『りゅ、留年?来年、同級生になっちゃうの!?』とまた固まってしまった私の手に無理やりお札を押し込む。

「コレ、ヒサシに渡しとけ」

「…………ヒ……サシ?」

すでにドアに向かって歩き出している背中に小さく問いかけると、

「……テルが『どうしても受け取らねぇ』って怒ってたって言っとけ」

と言い残してドアを開け、校舎に消えてしまった。

ねぇ、そうじゃなくて……。“ヒサシ”って誰?

アッキーはそんな私の髪を軽くかき混ぜながら

「中山ヒサシ。中山は、元々晴海先輩達の中学出身だから。小学校から一緒らしい。いわゆる、幼なじみってヤツだ」

とサラッと明確な答えをくれた。

そう言えば、中山ヒサシって出逢った頃に聞いた気がする。