「いい加減にしとけって」

頭上から降る怒りを含んだ低い声。


ヤバいし。

腰が痛いし……。

完全に劣勢だし……。

それでも諦めの悪い私がひっくり返ったまま床のエロ本を掴んで投げた瞬間

真っ赤の後ろのドアがギギと軋んだ音を響かせ、トモ婆ちゃんがヒョイと顔を覗かせた。

そして聞こえた『おや?』と言う少ししわがれたのんびりした声。

ば、婆ちゃん、ボケてないで110番だぁぁぁ!!

「アッキー来てたのかぁ」

…………。

なぬ?

『アッキー』?

私、いわば『タッキー』だし。

ぬ~。

ドゴンッ──

いってッ!

真っ赤が私の右足を急に離したおかげで、右足の踵を床に打ち付けてしまった。

「よぉ、トモ婆……明日じゃなかったのかよ?」

と真っ赤。



ぬぬ~?

と言う事は──



やはり真っ赤がアッキー確実であり。

「私も明日だと思ってたんだけどよ……。タキ?」

2人が私をジッと見る。