「『アイツらに何とか言ってくれよ。俺が言っても聞きゃーしねぇ!』って泣きつくから──」

ご丁寧にゴリラの物真似をしながら晴海先輩は私をチラッと見ると続ける。

「丁度良く手の内に飛び込んで来たジョーカーをきってみたんだけど──」

……“ジョーカー”?

「予想以上に見事な働きしたよなぁ」

今頃、煙草に火をつけた晴海先輩が空を見上げ『なぁ、タキ?』と私に相づちを求めた。

……私か?やっぱその“ジョーカー”って私か!?

って事は私はこの先輩に乗せられたのか?

晴海先輩の引いたレールの上を“グワングワン”と音をたてて暴走したって事か!!!!

ぬ~!!

「中山が、おととい『登校拒否しなくて良くなった!』ってウホウホ電話してきたぞ」

中山は登校拒否児は作っても、絶対に登校拒否児にはなんないと思うけどな。