「……げッ」

という隣からの声に、その視線の先を追う。

そして──

「げッ!」

同じ反応をした私の頭をアッキーは『声がでけぇんだよッ』と小突いた。

ども、と軽く頭を下げたアッキーに晴海先輩は楽しそうに笑った。

「おぉ、お前らなんかあったんだって?」

晴海先輩は2本目の煙草をくわえたアッキーをジッと見る。

「あったと言えばあったし、なかったと言えばなかったですけどね?」

「……そうかよ。まぁ、いいや」

晴海先輩も煙草をくわえると、ライターを探すようにポケットをいじくりまわす。

そしてライターと一緒に5千円札を出すと

「あ、忘れてた」

と私にいきなりその5千円札を差し出した。