“立ち入り禁止”と書かれた重いドアをぬけると、そこは青空。

びゅうッ、と時折強い風が吹く。

丸い貯水槽の裏に回るとアッキーは私の手を離した。

2人で色褪せた緑のフェンスに寄りかかると、アッキーは煙草をくわえ火をつける。

「……ありがとな」

吐き出される紫煙と一緒にそんな言葉が流れて来た。

「いーよ。別に」

こんなぶっきらぼうな返事しか出来ない私。

169.8センチで光を浴びた髪は赤。その上、低めの声でこのセリフ。

我ながら“可愛い”の欠片もない。救いようナシ。

そんな低空飛行する私の左側でアッキーは口元を緩める。

「アイツ……いや、ミサキさぁ」

心臓がバクンッと音をたてる。

「うん」