「嫌なヤツだろ?……てか、弟にこんなに殴られる程恨まれてる俺ってどうなんだよ?病院で寝てて根性焼きされるほど恨まれるってどうなんだよ?」

と腕に巻かれた包帯を軽く撫でる高藤。

……それって弟も人間的にどうなんだよ?と思わざるを得ないけど。

でもそんなに恨まれるって悲しいなって思った。

恨まれたり嫌われたりするってのは本当に疲れるし。

傷ついてんだね、高藤も。

私が知らないだけで傷だらけなんだね、きっと。

「俺は“最低でろくでなしだ”ってタケルが言うんだ。俺もたまにそう思う。だから──」

高藤が私を見つめて目を細めた。

「──お前がした事は間違ってねぇ」

…………。

……バレてたの?

な……なんで?

エスパー?

高藤は『それ、黒田のだろ?』と私の左手を指差した。

首に巻いた白いマフラーとは別に、左手にあるのはアッキーの赤いラインの入った黒いマフラー。

……私のドテかぼちゃ。

責める気もねぇ、と高藤は呟いた。