『いや……』なんて言いながら高藤は新しい雑誌を開く。

「……俺、たまにアイツは黒田といた方がいいんじゃないか?とか思うんだ」

“毎日答えは違うんだけどよ。やっぱ傍にいてほしいとか……柄にもなく思う事もあるし。そうすると力ずくで傍に置きたくなるし。……俺んち、結構複雑でさ、母親しかいないし貧乏だしよ。血の繋がらない弟と、半分血の繋がった弟がいるし”そう言うと高藤はスウッと息を吸って、“違うな……”と静かに自嘲気味に笑った。

「俺……人の幸せ妬んでんだよ。親父がいて幸せな弟が妬ましいんだ」

ああ……。

高藤って普段話さないのに、口開くと爆弾ばっかり。

「俺はミサキを笑顔に出来る黒田が羨ましい──」

高藤……。

なんでこんなディープな話私にしてんの?

てか何なの、この素直な感じ。

相手が私って本当に分かって言ってんの?

私がこういうのに弱いって分かっててしてんの?