「あれ……?ミサキいねぇ?」

ゆっくりと覚醒した高藤はいきなりこう言った。

お見舞いありがとう、でもなく。悪いな、でもなく。

堂々と悪びれずに。

その態度にちょっと息苦しさを覚える。


だから私もぶっきらぼうに答えた。

「……いない」

ここには居ない。うん。嘘はついてない。

「下にジュース買いに行くって言ったきり戻ってこねぇんだ」

「……あ、そう」

「ちょっと見てくる」

高藤がベッドから足を出す。

ぎょ!!

まずいだろ。それはまずいだろうがッ!!

今、1階ではアッキーがケリをつけてるハズで。

出来れば邪魔はして欲しくないし、高藤に目撃されたくもないわけで。

万が一目撃されて乱闘にでもなっちゃったら私、とめる自信がまるでない。