病院裏の休日用の狭い入り口から救急受付を抜けると、薄暗い廊下の先にエレベーターが見えて

「あ……」

前を行くアッキーの左の肩越しに総合受付の長椅子に座っている小さな白いパーカーを見つけてしまった。

休みで照明の消えている総合受付の殺伐とした長椅子に。

ミサキ──

なんでそんなトコにいるのさ。

もしかしてミサキって避けては通れない試練なのか?

ねぇ……

アンタがそんな小さな背中を見せるから……

そんな薄暗い長椅子に1人で居るから……

アッキーの想いが終われないんじゃん。

忘れらんないんじゃん。

これって完璧八つ当たりだろうけど。

けど──

“終わらせてぇよ。俺……アイツらがダメになればいいなんて思ってねぇもん……”

アッキーがあんな顔するなら

終わらせたいと望むなら

ならば……

私が終らせてやろうじゃないかと思ってしまう。

「……ねぇ。“終わらせたい”んだよね?」

無言のままカーキ色のダウンジャケットが振り向く。

寂しげに細められた瞳に胸がギュッと鷲掴みにされる。