『中山ぁ~』と言う廊下からの声にガタガタと椅子を揺らして立ち上がる中山。

ああ、後光がさして見えるのは気のせい?

いつもより人間っぽいのは気のせい?

「俺に惚れるなよ?」

……それはない。間違ってもない。安心してもらいたい。

「お前は願っとけ」

「なにを?」

“俺に惚れないように”とか言うなよ?

「決まってんだろ。アッキーとの初せっく……いってぇ!シャーペンで刺すんじゃねぇ!!」

大げさに手の甲を撫でる中山はもういつものゴリラに戻っている。

「お前、俺が“初節句”って言おうとしたとか思わないわけ?」

「……思わない。まるで思えない」

だいたい“初節句”って産まれて最初の節句の事でしょ?意味分かんないじゃん。

「んだよッ!あ……!!これはもしや──」