「あ、でさ余談だけど……」

この場面で余談にいけるのが母がマユミさんたる所以(ゆえん)だ。

「ソウリュウの息子、出来たらヤッちゃっていいからね」

はい?

『でも、無理か──』とかなんとか言いながら、マユミさんはタバコを灰皿に押し付けた。

そして

シュッシュッとシャドウボクシングの真似事をして。

何か個人的な恨みでもかかえているご様子。

……ん~?

私はここに一筋の光を見た。

もしも母マユミの思惑がこれならば──

そんな事はあるハズがないのだけど──

あっちゃならないんだけど──

「ねぇ。……ソイツをヤッたら帰って来ていい?ここに……」

小さな望みをかけてみた。

自然と右手の拳を温める私の質問にマユミさんは一瞬目を見開き、フッと笑った。