もうここまでくれば『家政婦は見た』状態だよ、なんて思いながらも視線を外せずにいた。


バイクから降りてヘルメットを外したアッキーがミサキを振り返る。

うつむき加減のミサキを見下ろす困ったアッキーの顔。

眉毛をハの字にした初めて見る表情。

アッキーは一瞬天を仰いだと思ったら、おどけた顔でミサキを覗き込んで、

ミサキはクイっと頭を上げるとバイクの上からアッキーの額に軽くチョップした。

小さく笑ったアッキーが額をさすりながら、歩き出す。

そしてその後ろを慌ててミサキが追いかける。

あの2人、いつもこうして過ごしてきたんだろうか……。

あんな自然に。

普通に見たら恋人同士みたいで。

都市伝説って……なんでこんな自然な2人が恋人同士じゃないって事か?

てか……

アッキーってあんな顔するんだね──

胸がチクンと痛んだ。

安心しろよ。あの子猿はマコトしか見えてねぇよ、と訊いてもないのに晴海先輩はニタッと嫌な視線を投げかけてきた。