No.1とNo.2の前での粗相は避けたいと、ずっと口をつぐんできたのに、こともあろうか話しかけられてしまった。

なんとも言えない空気が車中に広がった気がした。

「あ?」

と前の運転席でテルさんが私の代わりに反応するくらいに、私はただ呆然と窓の外を見つめたままで。

「テル、お前じゃねぇよ」

って事は……やっぱり私ですか?

『お前だよ、お前』という声のする方向へギギギギって音が本当にしたんじゃないかって程にぎこちなく首を回し、さらにフルフルと小さく振ると晴海先輩はフッと笑った。

そしてピーピーとギアをバックに入れた電子音が響いて、たぶん高藤が入院してるだろう病院の駐車場に車が止まった。

「おお、丁度いるじゃん。あれが、浦ヶ崎都市伝説だ」

低い声と一緒に細くて長い指がさした先にはアッキー。

そして……

ミサキ。