結論から言うと──

その日、高藤は学校に戻って来なかった。

私がその理由を知ったのは四限目の自習の時。

クラスメート達は好き好きに図書室やら屋上やらに散って行き、教室にいるのは私を含めて数人で


中山を中心にエロ話で盛り上がっていた一行も『一服しようぜ』の鶴の一声でぞろぞろと教室を出て行き

気が付いたらいつの間にか教室に1人になっていた。

寝ようかな?

頬杖をついて窓の外の強風に舞うビニール袋を目で追っていたら、ガラガラと勢い良くドアが開いた。

「お!?真っ赤丁度いるじゃん」

いちゃ悪いか?

てかいきなり失礼すぎて目眩がするぞ?

そう素直に言えなかったのは、その人の全開の学ランの裏地が真っ赤で、しかもその中の黒いシャツには見事な昇り龍がいたからで。

『……マコト、頭かち割られて入院したぞ』と言ったからで。

『“油断した”って笑ってたけどな』と口角を上げたからで。