「なによ?あたしが保護者である限り、高校だけは何としても卒業してもらうわよ?」

細い煙草をくわえたままで片方の眉をくいっと上げたマユミさんが私を振り返った。

「何か文句ある?」

そんなぁぁぁ。

イタッ!イタタタッ!

マユミさんが自慢のパツキンの間から静かにレーザービームを発射している。

「で、文句ある?」

暴君はやはり本日も健在で。

「……ねぇ、私一人?本当に一人で?」

すがるような私の目を見てマユミさんはゆっくりと首を縦に振り降ろした。

……まじで?

「そー。一人で」

あの何もない街に?

カエルが合唱するあの街に?

記憶の中の浦ヶ崎はネオンのない街。

夜に爆睡の街、浦ヶ崎。

「ずっとこのままって訳にはいかないでしょう」

「だからって浦ヶ崎?……島流しかよ」

まるで罪人じゃないか。

若干キレ気味な思考。

「タキなら大丈夫よ」

んな訳ないだろうが!

是が非でもその『大丈夫』な理由を知りたい。

何がどうしたらあの街で大丈夫なのか

大声で確かめたいトコだが……

目の前のパツキンが恐いので必死で目で物申す。