そもそも事の起こりは、夏休みに入って何日かした頃。

『あぁ、今日も空は灰色かぁ……』と母であり金髪なマユミさんが薄暗いアパートの窓を開け、天気をお知らせするついでに爆弾を投下したことに始まる。

「で、九月から浦ヶ崎の高校に転校ね」

「……う?うが?」

自分の部屋へ続く襖に手を掛けたまま私は声の主を振り返った。

「う~ら~が~さ~きぃ!!あたしの田舎だよ」

それは知っている。

しかし……

なぜ浦ヶ崎?

なぜ今さら浦ヶ崎?

なぜあの街?

「あたしの友達が三高の先生やってんだよね。その関係で相談に乗ってもらったから」

マユミさんはピースをする。

「で、お婆ちゃんにはちゃんと話もしてあるからさ。あ、あたしは店があるから行かないけど──」

「え?ぇぇぇぇえ?」

びっくりだ。

びっくりし過ぎて脳みそが4倍ぐらいに膨張した……

気がしただけだった。