9時くらいのこと…


隣にはもちろん向井さん。
今、お客さんは居ない。

あたしは仕込みを終えて
日付と時間を
書こうとしていた。



「あっ。」

あたしは
日付を書く手を止める。




「あと1ヶ月でクリスマスですね。」

「そうだね。」

沈黙―――――


向井さんはいつも
バイトの事以外
自分から話そうとしない。

っていうか
話にも乗っからない。

他の人達は
普通に話してるのに…
特に今みたいな
お客さんが居ないとき。


いつもならここで
話は終わってるけど…
今日はちょっと
イライラしたことがあったから
なんでもいい…話してたかった。



「でもクリスマスで
何でみんなあんなに
浮かれてんのか
あたし分かんないんですよね。」


一応…あたしの本音。