「………キャアーッ!」


崩れ落ちていく器具が立てる音に、香坂さんの悲鳴が重なった。

全身に鈍い痛みが走る。

少し遅れて、右肩から背中にかけて、尋常じゃない痛みに襲われた。


「………っ、あれ?どこも痛くない…」


ゆっくりと顔を上げた流羽が、不思議そうに言った。


「流羽、香坂さん…怪我は無い?」


痛みを必死で堪えながら、2人に問い掛けた。

俺の背中を、嫌な汗がじっとりと伝う。


「…ゆ、き…?」


大きく見開いた目で俺を見つめる流羽。


「流羽くんに、小泉くんまで…ごめんなさい…」


瞳を潤ませてそう言った香坂さんを、流羽が優しくなだめるのを見て、心底安心した。


「2人共…無事で……よかっ……」


身体が、言うことを聞かない。

重力に逆らえなくなり、地面にそのまま倒れ込んだ。

視界が霞んでいく…


「…有貴?おいっ、有貴ってば!」


最後に見えたのは、悲痛な表情で、上から俺を覗き込む流羽の姿。


流羽…、流羽…っ…


何度も叫んだその名は、声になって届かないまま、意識が遠退いていくのを感じた…