「何、俺の脚見て固まってんの?ほら、行くよ?」


強引に腕を引っ張られ、バランスを崩した俺は、有貴に抱き着く形になった。


「ごっ、ごめん」

「いいよ。むしろこっちのが都合良い。なんか流羽、変に緊張してるみたいだしさ」


そのまま肩に腕を回され、横抱きされる。

二人三脚だから、こうされて当たり前。

わかってるのに、触れられるだけで、胸がぎゅうって締め付けられるようで。


ぼうっとしていると、いつの間にかスタートラインの前に立っていた。

位置についての合図で、肩に回された有貴の手に、より一層力が込められたのがわかった。

俺も、有貴の肩に腕を回して、ぎゅっと力を込めて掴んだ。


「流羽、行くぞ」

「おう!」


スタートの合図と共に、俺達は前へ大きく踏み出した。