朝から爽やかな秋晴れ。

天気は快晴。

絶好のスポーツ日和の今日は、運動会だ。

無駄に長い開会式が終われば、すぐに競技が始まる。

学年別クラス対抗で、どのクラスも優勝を目指して点数を競い合う。

トラックの中で奮闘するクラスメイトを応援していれば、あっという間に出番が回って来た。


「流羽、行くよ」

「はいはい」


有貴に促され、応援席を後にして、入場門へと向かった。

まず、俺達が出場する競技は、障害物競争。

二人三脚をしながら、網を潜ったり、宙吊りにされたパンを食べたり。

1年の時もやったけど、結構楽しいんだよな。


「これ、結ぶよ?」


有貴は頭に巻いていた鉢巻きを外して、そう問い掛けた。


「ちょっと、待って!俺が結ぶから!」

「そう。ありがとね」


有貴から鉢巻きを受け取り俺と有貴の足首に掛けて、固く結ぶ。

今、有貴がどんな気持ちでどんな表情をしているのか気になって仕方がなかったけれど、俺は、有貴の足元にしゃがみこんだまま、顔を上げることは出来なかった。


だって俺の顔、半端なく熱かったから。

顔を見られるのが恥ずかしかったから、俯いたままだったんだ。