「俺が本当に好きな人は…有貴なんだ」
「ゆき?その女の子、どんな人なの?」
「女の子じゃないよ。有貴だよ、小泉有貴」
「……小泉…くん?」
「そうだけど…」
更に目を見開く柚里の反応に、不安が増した。
「そっか、そうだったんだぁ」
けれど、その後は、いつもの柚里の表情へ戻った。
その意外にもあっさりとした反応に、こっちが困惑してしまう。
「柚里、ぶっちゃけると俺は男が好きなんだぞ!?こんなに可愛い柚里より、男を選んだんだ。俺が…憎くないのか?」
「憎くなんて無いよ。好きにはいろんな形があると思うし。それに、小泉くんならしょうがないかなって感じ!」
「え…?しょうがないって…」
「なんか包容力に溢れてるっていうか…。雰囲気も妖艶?な感じでカッコいいんだけど綺麗な感じだし…」
そうやって冷静に分析する柚里は、ちゃんと人のことを見ているんだなぁと、素直に思った。
「流羽くん、自分に正直にね。頑張って!」
さっきまでは、泣いていた柚里を俺がなだめていたの筈だったのが何故か今、俺が柚里に励まされる形になっている。
でも、俺のこと…確かに認めてくれた?
これ以上、幸せなことなど無かった。
俺ばかり、こんなに幸せでいいのかな。
ちょっぴり不安になるけれど、背伸びをして俺の頭を撫でてくれる柚里に、今は身を委せていようか。