柚里が壊れてしまうのではってぐらいに、力の限りで抱き締める。

それに応えるかのように、柚里の細い腕が、俺の背中に回された。


「…わかった。私達、今日で恋人の関係は終わりなんだね?」


埋めていた顔を上げて、柚里が言った。


「うん。柚里との時間は、いつも幸せだったよ」


頬に残る涙の跡に、指を掠める。


「…ずっと、友達?」

「俺は…そうでありたいんだけど…」


俺の言葉に、柚里の表情が微かに歪んだ。


「俺の本当の気持ち、聞いても引かない?」


柚里の瞳に映る俺は、想像以上に真剣な顔付きで、自分でも少し驚いた。

柚里はそんな俺の気持ちを読み取ってくれたのか、黙って縦に頷いてくれた。