「ただいま…」


部屋の扉を開けると、三浦が笑顔で迎えてくれた。


「おかえり!何処に行ってたんだ?」

「…流羽に、会いに行ってた」

「幸村くんか!何だ、それなら俺も行きたかったな」


屈託の無い、明るい笑顔を見せる三浦。

リビングのソファーに身体を委ね、それとなくテレビの画面を眺める。

隣には、三浦がいる。


「あの、さ…」

「何ー?」


三浦はテレビに視線を向けたまま、返事をした。


「…この関係、やめにしないか?」

「……やめ、る?」


俺の言葉に、三浦は大きく目を見開いた。


「別れよう、俺達」


俺は、そんな三浦の目を真っ直ぐに見つめる。


「え…なんで…」

「俺ね、失恋の傷を埋める為に、三浦のこと利用してたんだ」


自失する三浦をよそに、淡々と言葉を続けた。


「俺の気持ちは、三浦に告白されたあの日から変わっていない。三浦のことは友達以上に見れないし、失恋した相手への想いは今も変わらない」


ごめん…本当にごめん。

三浦の優しさに付け上がった俺は、本当に最低な人間だよね。

こんな俺の為に注いでくれた、三浦の暖かい愛、ずっと忘れないよ。

俺、三浦のことを好きになればよかったな…