「有貴、どうしたんだよ?お前、夏休み前からずっと変…」


有貴の背中を優しく擦るけれど、有貴は俺の肩に頭を預けて、何も言わずに涙を流すだけだった。


「……泣くなって」

「俺…っ、どうすればいい…?三浦の前で、猫被るの…疲れた…」


ようやく開かれた、有貴の口。


「それって…」

「俺が…彼氏なんだ。三浦の…」


有貴は静かにそう言うと、俺の服の裾を、ぎゅっと掴んだ。

やっと、有貴が自分の口から話してくれた。

心の何処かで、この時を待っていた。

ずっと気にかかっていた…有貴のこと。


「1回、三浦のことフッたんじゃなかった?」

「…うん。三浦のことは好きだけど、違う好きで、今だって本当は、あいつのこと恋愛対象に見れない…」

「じゃあ、何で?好きじゃないのに、付き合うなんて…」


優しくなだめながら、有貴に質問を投げ掛ける。


「流羽が、好きだから…」

「…えっ、何言って…」


久々に聞いたその言葉に、何故か心臓が煩く反応した。