「……流羽くん?ぼうっとして、どうしたの?」


柚里の笑顔に見とれて、ぼうっと突っ立っていると、いつの間にか上目遣いの柚里に、顔を覗き込まれていた。


「いや…っ、何でもない!なんか、こうやって話すの久しぶりだな」


動揺しているだろう俺は柚里に、一体どのように映っているのだろう。


「そうだね。相変わらず元気そうだね」

「まっ、まぁな!」


談笑する俺達のもとに、あいつが顔を出す。


「柚里ちゃん、こいつと知り合い?」

「うん。和馬くんも流羽くんと同じクラスだよ?」

「あっ、わりぃ。柚里ちゃんのことしか見てなかったから…。俺は市川和馬っていうんだ」


…そんなの知ってるよ。

去年転校して来た柚里の幼馴染みで、彼氏だろ。


「幸村流羽です、宜しく」


とりあえず、市川に笑顔を飛ばし、差し出された右手を軽く握って、握手を交わした。