夏休み。
俺は、親戚の経営している海の家に、手伝いで訪れていた。
「いらっしゃいませー!焼きそば1つですねー」
お昼時になると人がどんどん流れて来る為、接客が忙しくなっていく。
「流羽、かき氷!」
「あっ、はーい」
忙しいけれど、決して嫌ではなかった。
「かき氷でーす」
「ありがとう!君、バイトの子なの?」
高校生ぐらいのお姉さんに尋ねられる。
「まぁ、一応そんなところですかね」
海に負けない、極力爽やかな営業スマイルを見せた。
「君、可愛いねっ。名前は何ていうの?」
頬杖をつきながら頭から爪先まで、お姉さんにしげしげと見つめられる。
「俺っすか?…りゅ」
「流羽ー!焼きそば運んでー!」
「すいません、じゃあまたっ」
「ううん、バイト頑張ってね」
仕事に戻る俺を、彼女は笑顔で見送ってくれた。
柚里には悪いけど、綺麗なお姉さんと会話も出来て、なかなか楽しい。
にしてもさっきのお姉さんは美人だったな…
「すいません、かき氷下さい。出来れば練乳多めで」
焼きそばを運ぶところに、注文が入った。
声の方へと振り向けば、見知った顔が迎えてくれた。
「はい、かき氷練乳多め…って、有貴!?…と三浦!?」