三浦はいつも、1番最後に部室を後にする。
部活を終え、今、部室には俺と三浦の2人。
三浦は本当に良い友達で、仲間。
そんな三浦を、自分の心に開いた穴を埋める為に使うのは、人として気が引けるけど、今の俺にはそうするしか術が無かったんだ。
「ねぇ、三浦…」
「何?」
「三浦は、俺のことが恋愛対象として好きなんだよな…?」
「なっ、なんだよ…そんなことか!もうその話は忘れろよ。さ、帰ろうぜ」
椅子に座る俺の腕を引き、帰ろうと促す。
三浦の顔は、赤かった。
「俺…あれから考えたんだけど」
「からかうな!」
「三浦への気持ち、尊敬とか信頼とかじゃ足りないんじゃないか…って」
「え…冗談だろ…」
背けられていた三浦の顔が、こちらへと動いた。
「好き…みたいなんだ、俺も」
「…本当に?」
「好き。三浦が好きだ」
真っ直ぐに、三浦の瞳の奥を見つめ、手をぎゅっと握る。
「俺も、小泉が好きだよ」
すごい力で引き寄せられたと思えば、そこは三浦の腕の中だった。
俺が三浦のこと利用してるって知ったら、多分怒るよね。
ごめんな、三浦。
じゃないと俺がぼろぼろになるから…
こんな俺を…許して。
こうして、俺の偽りの日々が始まった。