「やっと幸村が来たよー。あたしの手料理が冷めるところだったじゃない!」
有貴と一緒にリビングに入るなり、城崎の小言が耳をつつく。
テーブルに並べられた料理の数々。
これはいい嫁になるな…と思っていると、あの忌まわしきあいつが、こう言った。
「ま、この料理の半分は柚里ちゃんが手伝ったから出来たんだけどねー」
「んな…っ、何よ、いっちー!」
あいつの一言に、冗談だとわかっていてもご立腹の様子の城崎。
「香坂さんもありがとね」
有貴は、騒がしい2人をよそに、柚里にお礼を述べた。
有貴の横から、柚里をまじまじと見つめる。
「ううん。だって小泉くんの誕生日だし」
柚里は有貴にそう言って、昔から変わらない、その柔らかな笑顔を見せた。