「…ゆっ、柚里!?」


突然の登場に驚き、思わず咳き込んでしまった。


「おいおい…大丈夫かよ」


有貴は、そんな俺の背中を起こし、優しく擦ってくれる。


「柚里はもう熱平気か?」

「私はお陰様で!それより、流羽くんに私の風邪移しちゃったと思って、すごく心配で…」


ベッドの横に膝を付いた柚里は、俺の右手を両手で包み込んだ。


「…えっ?」

「私が倒れた時も、流羽くんがこうしてくれたでしょ…?」


大袈裟かもしれないが、にっこりと微笑む柚里の姿に思わず、女神のような錯覚を覚えた。

そして柚里はもう1度微笑むと、俺の唇に自分のそれを重ねた。


「私のおでこにも、こうしてくれたよね?」

「あの時、寝てたんじゃなかったのか!?」

「…少しだけ、意識はあったよ」


ヤバい…余計に熱が上がりそう…


そんな2人を有貴は、何食わぬ顔で見つめている。


「私、気付いちゃったの。本当はずっと前から…流羽くんが好きだったみたい」


熱が頭まで回っておかしくなったのかも。

今、俺は柚里に告白されている…?


「流羽くんが、好き…」


嘘…?本当…?


出来ることなら嘘であってほしい。

でもこれは本当なんだ…


「俺も、好きだ…」


不意に口から零れた言葉は俺の本心からなのか、わからなかった…