「兄ちゃん、熱大丈夫?」


部屋に、3つ下の弟・翔がお粥を持って入って来た。


「翔か…熱は、横にしてればまだ楽かな」

「僕を使って技の練習なんかしたから天罰が下ったんだね」

「…お前なぁ」

「お粥食べ終わったら床に置いといて。しばらくしたら取りに来るから」


お粥の入った器が乗っかったトレイを俺の膝の上に乗せて、翔は部屋を出た。

あまり食欲は無いけれど、とりあえずお粥を口に運んでいく。

身体の芯から温まっていくのがわかる。


丁度、お粥を食べ終えた頃だった。


「兄ちゃんにお見舞いだよー」

「幸村ぁ、熱は平気?」

「翔くんは、相変わらず良い子だね」


市川と有貴がお見舞いにやって来た。


「市川…それに有貴も。つか有貴は翔を口説くな!」

「やだなぁ…有貴さんは、僕を口説いてる訳じゃないよ、兄ちゃん」


やけに嬉しそうな翔。

その表情からして、満更でもなさそうだ。


「じゃあ、ごゆっくり。風邪貰わないように気を付けて下さいね」


市川と有貴に軽く頭を下げながら、トレイを持って翔は部屋を後にした。