「…くしゅん!」
喉が痛むし、全身だるくて身体が上がらないし、そして寒気がする。
…風邪だ。
よりによって試合の朝に風邪だなんて…
そう、今日は柔道の試合を控えている。
積みに積み重ねた練習が、自分の体調管理がなっていなかったせいで水の泡になってしまうとは…
覚束無い足取りで、朝食の支度をしている母の元へ向かう。
「母ちゃん…おはよう」
「おはよう!流羽、今日はあらゆる猛者を投げ飛ばして優勝ゲットよ!」
俺の背中をバシバシと叩き、喝を入れる母ちゃん。
「ってあんた、なんか熱っぽいじゃない!?」
「ん…、そうみたい」
額に手を当てて、熱を計る。
「残念だけど、今日は無理ね。連絡しておくから、流羽は部屋で寝てなさい」
「わかった…」
部屋に戻って、もう1度ベッドに潜り込み、枕元にある携帯を開いた。
皆に試合に出られなくなったこと伝えなくちゃ…
力の入らない指をゆっくりと動かして、メールの本文を作成していく。
送信ボタンを押して、そのまま目を閉じた。