「ちゃんと服あるなら始めからこっち渡せよー」


結局、有貴の部屋着を借りることになった。

メイド服を着ずに済みホッとしたものの、案の定ズボンの丈が少し長いのが癪に触る。


「…もしかしたら流羽が着てくれるかもしれないって方に俺は賭けたの」


ベッドの上で胡座をかく有貴。

その隣で有貴の本棚から適当にあさった漫画を開く。


「俺が着る訳ねぇだろ」

「それにしても、流羽が俺の服着ると大分雰囲気変わるんだな」

「まぁ…俺と有貴じゃ服のチョイスかなり違うもんなぁ。有貴のは大人っぽくて落ち着いた感じ」


モノトーンを基調とした服を好む有貴に対し、俺は普段からカジュアルな服や古着を好んで着ている。