「えっ?誕生日なのに、家に有貴(ゆき)1人!?」

「そうなんだよね…っていうか、俺がお願いしたんだけど。うちの親ラブラブだからさ、俺の誕生日に2人が旅行に出掛けてくれるのがプレゼントでいいよって言ったら本気にしてさ…」


明日は土曜日で、俺の親友・有貴の15歳の誕生日でもあった。


「じゃあ、朝から晩まで城崎(しろさき)と一緒に過ごせるな!」


俺は「羨ましいぜ」と有貴を肘でつつく。


『城崎』とは、有貴の彼女だ。


「でもさ、流羽とも一緒に過ごしたいんだ、明日」

「おっ、俺も!?」

「嫌…か?」

「わかった、明日は有貴の誕生日祝うよ!」

「ありがとう」


有貴は嬉しそうに、小さく微笑んだ。