湯船に浸かり、天井に向かって腕を伸ばす。
「あー気持ち良いー…」
さっき寝たばかりだが、このまま夢の中に行くのも悪くないかもしれない。
それにしても…
あの時、どうして有貴はキスをしてきたのだろう…
苺の味が知りたいからと言って、キスをするものだろうか?
仮にも男同士である。
その上、有貴には城崎恭子という彼女がいるのだ。
そして俺は不覚にも有貴のキスに感じてしまった。
…だって、マジで巧かったし。
…つっても俺のファーストキスだったけど!
城崎もあんなキス浴びせられたら身体持たないよなぁ…なんて思うぐらい。
キスの後は、身体がそれどころじゃなかったから記憶はあやふやだ。
有貴は確か、こんなことを言っていた気がする…
『俺は流羽のことが愛おしい…』
城崎がいるのに、何で?
もうろうとする意識の中で聞いたその声は、至極切なく、甘かった。
有貴、誕生日で浮かれすぎて頭イっちゃったのかな…
いや、有貴に限ってそんなことは無いと思うけど…
口から息をぶくぶくと吐きながら、顔を湯船に沈めていった。