「はい、どうぞ」


席に着くと、お兄さんがオレンジジュースを出してくれた。


「いただきまーす」


一口含めば広がる、フレッシュな香りに舌鼓を打つ。


「で、話って何?」


テーブルに腕を預け、お兄さんは言った。

今、俺の隣には有貴、その向かいにはお兄さんが座っている。


「俺、本当のことが知りたい。兄貴の、本当の気持ちが知りたいんだ」

「俺の気持ちって……何のこと?」


そう言って笑みを浮かべたお兄さんに、何故だか背筋が凍るのを感じた。

お兄さんに怯えてきた有貴の気持ちがやっと、少しだけれどわかったような気がする。


「……っ、しらばっくれんな!」


ドンッと、テーブルが大きな音を響かせる。