「流羽……」


俺の肩に預けていた頭を、ゆっくりと上げる有貴。


「何?」

「兄貴に会いに……行こっか」


有貴はそう言って小さく微笑んだけれど、やっぱりどこか躊躇いを感じる。

そうなるのも無理は無い。

俺が有貴の立場でも、同じことだったと思う。


「そうだな、行こっか!」


俺は有貴に向かって、今の俺に出せる精一杯の笑顔を飛ばした。

俺に何が出来るかは、わからない。


頼り無いかもしれない。

役に立てないかもしれない。


だからこそ今、俺は笑うんだ。

不安な時ほど、人の笑顔に心が救われるものだから。


有貴の過去、お兄さんとの今、俺達の未来。

その全てに決着を着け、前へ進もう。

この先に、本当に幸せが待っているのかはわからない。

有り余るほどの幸せが待っていると信じて、俺は有貴と共に歩もうと、心に誓った。