俺は有貴に、何をしたらいい?何をしてやれる?
ただ1つわかるのは、このままでは駄目なこと。
逃げていたら駄目なんだ。
俺達が前に進むためには……
「有貴、お兄さんと会って、ちゃんと話をしよう。ちゃんと話して、決着着けよう?」
「……無理だよ、今更そんな……」
眉を寄せ、然も辛さを訴えるかのような表情を見せる有貴。
俺が、しっかりしなきゃ。
辛いのは有貴なのに、俺がめそめそと泣いていては駄目だ。
「行こう。辛いかもしれないけど……俺もいるから」
有貴の両肩を掴んで、一直線に見つめる。
少し間を置いて、有貴はこう答えた。
「……ちゃんと兄貴と話すよ。だから、もう少しだけこうさせて……」
すると身体に腕が回され、そのままぎゅっと抱き締められる。
久々に感じる有貴の温もりで、胸がいっぱいになった。
出来ることなら、ずっとこのままでいたい。
互いの温もりを感じていたい。
いつだって、やっとの思いで幸せになれたと思ったら、新たな障害が前に立ちはだかるのは何故。
永遠の幸せって、いつまでも訪れないものなのだろうか……。
いくらなんでも、それは報われなさすぎる。
だからせめて、有貴だけには幸せになってほしい。
有貴が幸せなら。
その顔を見ることが出来れば。
それだけで俺は、充分幸せなんだ。
有貴の腕の中で俺は、最愛の彼の幸せを強く願った。