「こんなに燃えた試合は久々だ!皆お疲れ様。帰ったらゆっくり休めよ。解散!」

「ありがとうございましたっ」


監督の言葉で解散。

帽子を取って、礼を済ませた。

チームメイトとも挨拶を交わし、真っ先に向かったのは、勿論智兄の所。


「智兄!」

「おう!有貴、お疲れ」


グラウンドから少し離れた所に、智兄はポツンと立って待っていた。


「折角だからベンチまで来ればよかったのに。皆、智兄が来たら喜ぶよ」

「え…面倒臭いからいいって」


智兄は小6まで、俺が今所属しているチームにいた。

智兄と入れ替わりで入った俺は、一緒にプレーしたことは無いけれど、監督やコーチ、先輩から話を聞く限り、やっぱり野球が上手かったらしい。

試合が行われる度、智兄の応援に行ったのを覚えている。

野球をしている智兄はキラキラとして見えて、同時に野球そのものが楽しそうに思えて仕方がなかった。