「有貴ーっ!誕生日おめでとう!」


現れたのは案の定、智兄だった。


「今着替え中なんだけど」


祝福され嬉しいのとは裏腹に、溜め息混じりに俺は答えた。


「年頃の娘じゃあるまいし、そんなこと言うなよぉ」

「だって智兄、朝からうるさいんだもん」

「うるさくなんかないぞ!弟の誕生日なんだ。こんなめでたい日、祝わずにはいられないだろう!」


そう言って、ユニフォーム姿の俺を高く抱き上げる智兄。

上から見下ろす智兄は、下から見上げるカッコいい智兄と違って、見とれてしまいそうな
ほど綺麗だった。


「どうだ?上から俺を見た気分は」

「……智兄が、綺麗に見えるよ」


そう言うと智兄は、もっと綺麗に笑った。