「なぁ…どうして、そんなに悲しい目をしているのか。心に、何を抱えているのか。俺に…教えてくれないか?」
優しく諭すようにして、有貴に問う。
「…わかった。俺の心の中のもの、流羽に全部さらけ出すよ」
依然虚ろなままの瞳だけれど、口調は強く芯のあるものだった。
鍵を回し、家の扉を開く。
空っぽの玄関に靴を並べ、短い廊下を歩き、自室へと向かった。
ベッドの上で、向かい合って胡座をかく。
「話、多分長くなるけど…いい?」
「おう。もしも途中で辛くなったりしたら、話すの止めていいんだからな?」
「俺が話すって決めたんだから、最後まで話すよ。流羽は心配しないで、俺の話聞いてて」
そう言って、柔らかな笑みを見せた有貴に、俺はホッと胸を撫で下ろした。
「…じゃあ、話すね」
有貴は、静かに語り始めた。