家に向かう途中、お見舞いの花束を買った花屋の前を通る。
そこでふと思い出す。
あの花言葉を、無性に伝えてやりたくなった。
花言葉って、口に出して伝えるんじゃなくて、その意味の花を贈ることに意味があるんだと思う。
だけど俺達は、言葉にしないと意味が無い気がした。
知ってほしい。
わかってほしいんだ。
この贈り物に込められた、意味を。
「有貴さ、俺がお見舞いに贈った花のこと、覚えてる?」
「覚えてるよ。向日葵みたいな奴だろ」
「あの花の花言葉、知ってる?」
「……花、言葉?」
「君の傍にいるよ、っていうんだけど」
店員さんから、ゴールデンピラミッドの花言葉を聞いた時、柚里がこう言っていた。
『今の流羽くんと小泉くんに、ぴったりじゃない?』
あの時は、柚里の言っている意味がおぼろ気にしかわからなかったけれど、今ならはっきりとわかる。